さめないすーぷ

スープ料理によく使われる食材:牛乳について


安全性についての議論

・特に高齢者においては、飲用によって血中カルシウム濃度が高まると、体内のカルシウムも排出されてしまい、逆に骨粗鬆症を引き起こす可能性が高い。(外山(2001)参照)

 カルシウム排出の要因は様々であるが「血中カルシウム濃度の上昇がカルシウム排泄を促進し、カルシウムが不足する」という仮説について信頼できる情報は現在ほとんど無い。また、血中カルシウム濃度は常に一定に保たれる作用があるため、牛乳を飲んで濃度が高まること自体が考えにくい。
牛乳と骨粗鬆症の因果関係の説明として牛乳の摂取量が多いと推定される北欧諸国の骨折率が高いことを理由に挙げる例が多いが、これまた要因が様々ある骨折率、直接因果関係の無い牛乳の摂取量の相関を比較することは無意味である(佐藤、五十嵐(2001)参照)。なお、北欧諸国の骨折率が高い理由の一つは、日照が少ないため、皮膚でのビタミンD合成量が少ないことにある。

アメリカ小児科医アカデミーは、牛乳は鉄分不足になるため1歳未満の子供に与えないように勧告している(The American Academy of Pediatricians 参照)

 6 - 8ヶ月未満の乳児期(離乳期前)においては、母乳又は鉄分を強化したスキムミルクの摂取により必要な鉄分が摂取されるのに対し、牛乳には鉄分が少ないので、母乳の代替としての牛乳の摂取は望ましくないという主張である(The American Academy of Pediatricians 参照)。

・カルシウムを骨の材料として利用するにはマグネシウムも必要であるが、牛乳には少ない。

 例えばホウレンソウのカルシウム:マグネシウム比と比較すれば、牛乳のマグネシウムの比率は少ないと言える。一方で、骨形成に必要な成分としては他にリン、ビタミンDなどのバランスの取れた摂取が求められる。牛乳でもその他の食品でも、一食物だけの栄養バランスを論じるのは合理的ではない。
なお、この他にも牛乳は鉄の含有比率の低い食品としても知られているが、それについても同様である。

低温殺菌牛乳でないと(超高温瞬間殺菌では)栄養が駄目になってしまう。健康に有害な成分が生成する、または残ってしまう(一部の消費者団体や生活協同組合、中小乳業メーカーが主張している)。

 農水省は加熱温度の違いによる栄養面での差は認められていないと発表している。
これらの主張の中にはタンパク質の変性を問題としているものも多い。しかし低温殺菌であっても菌を死なせるほどの加熱をするわけであるから、牛乳中のタンパク質も当然ある程度変性する。そもそもタンパク質の変性とはその高次構造が変化し、そのタンパク質が持つ本来の機能を失うことであるが、栄養的価値の有無とは無関係である。なぜなら、経口摂取されたタンパク質は基本構成単位であるアミノ酸まで「ばらばらに」分解され(消化され)ないと栄養として吸収されないからである。これは変性の有無に関わらず同じである。さらに、我々ヒトの胃では消化のため強酸性の胃酸が分泌されているが、これは胃に送り込まれたタンパク質を変性させる。
したがって、栄養学的に見ればタンパク質の、摂取前の変性の有無を議論することにはほとんど意味が無い。
過酸化水素が発生し(または残留し)、危険であるという説は、国立医薬品食品衛生研究所の調査データでは否定的な結果が出ている。

Wikipedia「牛乳」より