さめないすーぷ

スープ料理によく使われる食材:味噌について


手作り味噌の作り方

家庭での手作り味噌の作り方の一例を以下に示す。
例)大豆1kg(乾燥重量)、米麹1kg、塩430g
米麹1kg、塩430gを混ぜ合わせる。これを「塩きり」と言い、塩と混ぜ合わせたものを「塩きり麹」と言う。麹菌はこの時点で死滅する。麹が大量に分泌した酵素群はそのまま残り、麹の酵素(プロテアーゼ、アミラーゼ、リパーゼ等)が時間をかけてタンパク質、でんぷん、脂質をそれぞれアミノ酸グルコース脂肪酸に分解する。アミノ酸が旨味に、グルコースは甘味とさらに好塩性酵母グルコースを分解して生成されるエタノールが香りの一部になる。塩が不足すると、雑菌が繁殖する原因となる。
大豆1kgを一晩水に漬け、十分に柔らかくなるまで茹で、水を切り、煮豆を十分に潰して、人肌に冷ましたものを塩きり麹に加えて良く混ぜる。大豆が熱いままだと残った酵素まで熱で壊れてしまう。煮豆を十分に潰して麹と良く混ぜないと大豆タンパク質と麹の酵素接触・反応せずアミノ酸分解が進まず旨味が出ないことになる。
良く混ぜたものをジッパー付のポリエチレン袋に詰め、空気(=酸素)を良く抜く。空気を抜かないと、特に納豆菌、カビ等の雑菌が繁殖する原因となる。樽を使ってもよいがポリエチレン袋の方が気体を抜きやすく管理がしやすい。好塩性酵母による発酵で二酸化炭素が発生するので適宜気体を抜く必要がある。なお、本記事上部の写真のように味噌製造元で味噌樽に山のように石の重石を積み上げるのは石の重さで気体(空気=酸素、発酵で発生する二酸化炭素)を抜くためである。発酵がある程度進んだ段階で、撹拌するために1回程度「天地返し」を行う。発酵が進むとアミノ酸グルコースが反応するメイラード反応が進行して段々と味噌の色が茶色に変化する。この色の変化はアミノ酸の生成の程度と旨味の程度を示している。
一夏越して味噌の出来上がり。酵素反応速度は温度に依存するので、温度が十分に上がらないと酵素がタンパク質その他を十分にアミノ酸までに分解できず、旨味が十分に生成されないことになる。


味噌の健康影響

麹酸による発がん性の有無
 麹酸(コウジ酸/Kojic acid)は、平成7年の食品衛生法改正に伴う既存添加物として使用が認められている食品添加物である。この麹酸は味噌やしょう油等の製造に用いられる麹菌(Aspergillus属等)が生成する、抗菌作用を持ち原料の腐敗を防ぐ効果がある重要な物質である。ところが、その麹酸に肝臓癌などを誘発する危険性が指摘されるに至り、味噌や醤油の発がん性が問題になった。しかし、動物試験での濃度(1〜3%混餌投与)に比して食品中の濃度はごく微量でしかない。その後、化粧品メーカーがコウジ酸の安全性を確認する追加試験を実施し、コウジ酸の化粧品としての使用は安全性上なんら問題がないことを証明した。味噌については、古くから摂取され続けてきた食物であり、食品中の濃度はごく微量でしかないことから麹酸の毒性は問題にならないとされている。

Wikipedia「味噌」より