さめないすーぷ

名称はスペイン語で「肉入りトウガラシ」を意味するが、チリコンカーンの起源ははっきりしない。肉をトウガラシ、ハーブ、香辛料と煮込んだテハーノの料理が起源とも、カウボーイのペミカンに似た保存食が起源とも推測されている。1835年にはサンアントニオで粉唐辛子やオレガノ、クミン、ガーリックパウダー等を配合したチリパウダーが発明された。1880年代には、色鮮やかな民族衣装を身につけた「チリ・クィーン」と呼ばれるヒスパニック系の売り子たちがサンアントニオの繁華街でチリを売るようになり、サンアントニオの名物となった。1893年のシカゴ万国博覧会では、「サンアントニオ・チリ・スタンド」という売店が設置され、南西部以外のアメリカ人にもチリの味を広めた。第二次世界大戦までには、テキサス州や他州のテキサス州出身者が多く住む地域で、チリ・パーラーというチリ専門店が繁盛するようになった。
チリが全米に普及したのは、1930年代の世界恐慌や、肉類が配給制になった第二次世界大戦がきっかけである。肉が手に入りにくくなった時、挽肉にいんげん豆やトマトを入れてボリュームのある汁物仕立てにしたチリは家庭で重宝された。現在最も一般的なトマトや豆の入ったチリは中西部で生まれたもので、あまり辛くなく、香辛料の使い方も南西部のチリとは異なっている。テキサス州のチリにはいんげん豆もトマトも入っていなかったが、1920年代あたりになって中西部でチリに豆が入れられるようになり、1930年代から1940年代になってトマトが入るようになった。クラッカーやチーズを入れる食べ方も中西部で生まれた習慣である。
Wikipedia「チリコンカーン」より