さめないすーぷ

ポシンタン補身湯)とは犬の肉を使用した朝鮮半島の料理で、言葉通りに体に栄養を補うスープを意味している。もとの名はケジャンクク(개장국、ケは犬を、ジャンククは辛味のスープを意味)で、犬肉の代わりに牛肉を入れて似たように煮込むスープ料理のユッケジャン(육개장、牛肉のケジャンククを意味)のケジャンは、これが語源である。1980年代序盤、犬の食用を禁じた当局の取り締まり[1]を避けるため、よく知られていた補身湯という名称を伏せるために作られた名称にヨンヤンタン(栄養湯)、サチョルタン(四節湯)などがある。これらはいずれも韓国での呼び名で、韓国においては犬肉を野菜とともに煮込んだスープが出されるが、北朝鮮では犬肉を「タンコギ」(단고기、「甘い肉」の意)と呼び、缶詰が売られている。
犬の肉には蛋白質不飽和脂肪酸が多く含まれており[要出典]、手術後の患者や栄養不足の人に滋養効果が高いといわれる。また最近は精力剤、肌美容としての効果を期待して食べることもある。韓国でも犬肉を毎日食べ続けている訳ではなく、三伏に滋養食として食べる場合が多い。
朝鮮において犬の肉は伝統的な料理の一つであるが、犬の肉を食べる文化の稀である日本や欧米では理解されず、また犬を屠殺する前に苦痛を与えるほど肉の味が良くなるとする俗説に従って、凄惨な虐待などを施した後に殺して調理するなどの事情もあり、「野蛮」であるとして批判された。これらの事情から、ソウルオリンピックの際にはこれを扱う食堂は表通りから一掃された。 ただ、看板をハングル表記のみにすればポシンタンの店だとは外国人にはわからないため、そのようにして営業をする店もあったという。 また、減っていた店舗数も、ソウルオリンピック閉幕後は戻ったという。
これらの影響もあり、一時はこの食文化を恥であるとして、表立って提供するのをはばかる場面もみられた。その後は、韓国国内では歴史的食文化を感情的理由で非難することについての批判が高まり、韓国の経済発展などで「朝鮮文化を見直す、世界に広く知らしめる」などと主張するナショナリズムの隆盛もあり、規制は現在行われていない。一方で、欧米の動物愛護思想の影響を受けた犬食反対団体が韓国内にも出来るようになった。
なお、韓国でも若い世代には、犬の肉を食べることには抵抗のある者は少なくない。また、犬の肉は匂いが強いと考えられていたり、中年男性が精力剤として食べるものというイメージもある。しかしながら老若男女を問わず、年間200万頭もの犬肉を消費しているという調査結果もある。
Wikipediaポシンタン」より