さめないすーぷ

スープカレーは、日本のカレー料理のひとつ。2002年ごろから北海道札幌市でブームとなり、その後全国的に知られるようになった。「ご当地カレー」の代表例のひとつである。


小麦粉でトロミをつける洋風のカレーや、乳製品と油を多用する北インドのカレーとは異なる、サラサラしたスープ状のカレーである。野菜や肉などの具を大ぶりにカットしたり、あるいは丸ごと投入するのも大きな特徴である。 1970年代から札幌市に存在していた料理であるが(後述)、1990年代中ごろに突然同市にスープカレー店が続々と開店、はじめはマニアに注目されるにとどまっていたが、徐々に評判が広がり、2002年から2006年ごろにかけて大ブームとなった。
ブームのピーク時(2004年ごろ)には、札幌市内に200店以上のスープカレー店が存在すると言われた。ブームの影響は全国に及び、欧風カレーをスープ状に薄めたものや、南インドや東南アジアのカレーを「スープカレー」と称して出す店もあらわれた。


各店において考案された多種多様なスープカレーがあるが、おもな特徴を挙げると次のようになる。
大ぶりの具。チキンレッグや豚角煮やラムチョップ、素揚げや湯通しして大ぶりに切られた(または丸ごとの)ジャガイモ、ニンジン、カボチャ、ピーマン、オクラ、シメジなどの野菜・キノコ類が入れられる。これらはスープとは別工程で調理される。
動物系や野菜系の材料を煮込んだスープに、別に用意したスパイスペーストを合わせる(札幌ラーメンの影響)。
「トマト系スープカレー」(後述)では、炒めたバジルとその香味オイルをたっぷり浮かべることが多い(イタリアン・フレンチの影響)。


札幌スープカレーの起源
・アジャンタ薬膳カリィ店
スープカレー店の多くの店主が「大きな影響を受けた店」として名前を挙げている店である[1]。店主の辰尻宗男(1934年〜2009年)は薬売りの行商で知られる富山県の生まれで、幼少時に札幌に移り住んだ。1971年に喫茶店を開店、家に伝わっていた漢方の薬膳スープと、インドのスパイス料理を融合した「薬膳カリィ」を考案し、一日20食限定で出したところ、口コミで評判となった。はじめは具無しだったが、1975年に「もったいないから出汁に使った鶏肉も出して」という客のリクエストにより具入りとなったという。


スリランカ狂我国
1984年に開店。スリランカ料理をベースにした「スリランカカレー」を出して人気となった。


・木多郎
1985年に開店。カレーの具の野菜を素揚げするアイデアを普及させた。「トマト系スープカレー」のルーツでもある。


マジックスパイス
1993年に開店。初めて「スープカレー」という呼称を使った店である。インドネシアの「ソトアヤム」をヒントに開発した独自のカレーが評判となり、スープカレーブームを牽引する役割を担った。
同時期にはほかにも納豆カレーで有名になった「村上カレー店 プルプル」(1993年開店)、多種類の野菜を盛る「ベンベラネットワークカンパニー」(1994年開店)、旨味と辛さが強烈な「Voyage」(1996年開店)など、個性的なスープカレー店が多数誕生した。


企業
新エヌケイフーズ - レトルトカレーを販売。
ハウス食品 - 札幌らっきょ監修の「スープカリーの匠」(スープカレーの素)を全国販売。
明治製菓 - マジックスパイス監修のレトルトカレーを全国販売。
CoCo壱番屋 - スープカレーを期間限定販売。
エースコック - 北海道限定で「大吉スープカレー」を販売。
東洋水産(マルちゃん) - 「札幌スパイシー」シリーズとして「スープカレー味ヤキソバ」、「スープカレーラーメン」3種、「スープカレー ワンタン」を販売(終了)。
JT - 自販機用スープ飲料としてスープカレーを販売。
ベル食品 - 大泉洋がプロデュースした「本日のスープカレーのスープ」を販売。


書籍
『北海道スープカレー読本』 樺沢紫苑、亜璃西社、2004年。ISBN 978-4900541542
スープカレーの歴史について詳説している。
スープカレーナビ』 中村直也アスペクト、2004年。ISBN 978-4757212220
おもに首都圏のスープカレー店を紹介。
『札幌のスープカリー決定版 第三弾』 エムジー・コーポレーション、2007年。ASIN B000P12IE0
スープカレーにする? カレーにする?』 コア・アソシエイツ、2009年。ISBN 978-4863810068
『本日のスープカレー』 大泉洋、HAJ出版、2006年。ISBN 978-4902882001
スープカレーキッチン』 水野仁輔、マーブルトロン、2006年。ISBN 978-4123901154
Wikipediaスープカレー」より